新製品紹介
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日立金属技報 Vol. 31（2015）
乾式極異方性リング磁石
Dry-Type Multi-Pole Ring Magnet
Ferrite magnet：NMF
®
-DM3
極異方性リング磁石は着磁後の表
面磁束密度波形が正弦波に近いた
め，モーターのコギングトルクを低
くする設計が可能で，モーターの振
動，騒音を低減できるメリットがあ
る。また，極異方性リング磁石はラ
ジアル異方性リング磁石に比べて表
面磁束密度が高いため，高いモー
ター出力が得られる。このような特
長から，極異方性リング磁石は車載
用および家電用モーターの回転子と
して使用されている。
少極数の極異方性リング磁石は，
巻線をシンプルにでき，モーター製
造コスト低減が期待できる。しかし，
6 極以下の極異方性リング磁石は，
焼結時に磁石内部に歪みが発生し，
強度が低下しやすく，製造は困難で
あった。また，モーターの小型化お
よび省エネルギー化の流れの中，磁
石特性の向上が望まれていた。
日立金属は，このような課題，ニー
ズを踏まえ，フェライト磁石におい
て世界最高レベルの磁気特性を有す
る NMF
®
-12 シリーズを材料として
用いた乾式極異方性リング磁石
｢NMF
®
-DM3｣を開発した（図1）。
さらに，原料および成形プロセスを
改善し，6 極の極異方性リング磁石
の量産化を可能とした。
1．特 長
新製品は，日立金属従来の極異方
性リング磁石と比べ，以下の特長を
有する。
（1） 残留磁束密度（Br），保磁力（H
cJ
）
ともに向上（ 図2）。
（2） H
cJ
の温度係数（ΔH
cJ
/H
cJ
）が改
善され，低温域で減磁耐力に優れ
ている（ 図3）。
（3） 6 極の極異方性リング磁石の量
産化が可能。
2．用 途
車載用および家電用モーターとし
て，表1に示す各種用途での需要
の伸びが期待できる。
（磁性材料カンパニー）
図 1 乾式極異方性リング磁石「NMF
®
-DM3」
Fig. 1 Dry-type multi-pole ring magnets NMF
®
-DM3
図 2 DM シリーズにおける Br と H
cJ
の関係
Fig. 2 Relationship between Br and H
cJ
of DM-series
表 1 DM3 の主な用途
Table 1 Main application
図 3 DM シリーズの保磁力の温度係数
Fig. 3 Temperature coefficient of H
cJ
of DM-series
10 mm
0.40
0.35
250 300 350 400 450
0
0.05
0.10
0.15
0.20
0.25
0.30
H
cJ
(kA/m)
ΔH
cJ
/H
cJ
(%/K)
DM1 (Conventional materials)
DM2
(Conventional materials)
DM3
(New materials)
Main application
Idle speed control valve
Water pump
Continuously variable transmission
Dual clutch transmission
Exhaust gas recirculation
Water pump
Fan motor
Automobile
Home appliance
340
320
300
300 350 400 450 500
280
H
cJ
(kA/m)
The figure shows magnetic properties of finished product.
Actual magnetic properties might be different from ones
above depending on shape, size, or operating conditions.
Br (mT)
DM3
(New materials)
DM2
(Conventional materials)
DM1
(Conventional materials)