新製品紹介
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日立金属技報 Vol. 31（2015）
Nd-Fe-B 焼結磁石 Low Dy Series
Nd-Fe-B Sintered Magnets Low Dy Series
Nd-Fe-B magnet：NEOMAX
®
NMX-46F, 42F, 37F, 35F, S49F, S45F, S41F, S38F
Nd-Fe-B 焼結磁石は，モーターの
小型化・高効率化を進める材料とし
て注目されており，省エネルギー・
環境適合製品に多く使用されてい
る。一方，資源問題からレアアース
の採掘枠や輸出枠の規制が強化さ
れ，価格の乱高下および供給問題が
生じている。特に，高温時の減磁を
極力小さくすることができる添加元
素である Dy は大きな調達リスクを
抱えており，Nd-Fe-B 焼結磁石の
Dy 使用量削減が強く望まれている。
このような状況に対応するため日立
金属では，Dy を焼結後の磁���表面
から拡散させて，主相（Nd
2
Fe
14
B相）
結晶粒の外郭近傍にのみ導入するこ
とにより，Dy の使用量を低減しな
がら磁気特性を高める Dy 拡散法
（DDMagic
®
）を開発し，2010 年より
量産を開始している。
今回新たに，Dy 拡散法とは異な
るアプローチを有する材料を開発し
た。具体的には，保磁力の発現に大
きく影響する二粒子粒界相に着目
し，これまで検討されてこなかった
組成領域や添加元素の探索，さらに
製造条件等の適正化を行い，原料合
金の Dy 含有量を削減しつつ，大幅
に保磁力を向上した。
本技術を用いた新材料を，Low Dy
SeriesとしてNMX- 46Fから35F材
までラインナップし，2014年4月
に市場投入した。本ラインナップは
当社従来材の NMX-50 Seriesと比
較して，残留磁束密度（B
r
），保磁力
（H
cJ
）が同等で，Dy を質量比で 2 ∼
3%（以下，mass% と示す）削減す
ることが可能である（図1）。たと
えば，図2，図3に示す通り，46F
材は Dy を約 2 mass% 含む従来品
NMX-50 Series の 46CH 材と同等の
特性を Dy を含まずに得ることがで
きる。42F 材は Dyを4∼5 mass%
含む従来品の 43SH 材と同等の特性
を Dy を 1.5 ∼ 2.5 mass% 含むだけ
で得ることができる。さらに 2015
年 4 月からは高性能材の NMX-S52
Series にもこの技術を適用し，市場
投入する予定である。
（磁性材料カンパニー）
図 1 Low Dy Series の磁石特性マップ
Fig. 1 B
r
/ H
cJ
-properties of Low Dy Series
図 2 開発材と従来材の減磁曲線比較
Fig. 2 Comparison of demagnetization curves between developed
and conventional material
B
r
(T)
1.2
1.5
����
1.4
1.3
NMX‒S52 series
NMX‒50 series
Conventional material
1,000 2,000
H
cJ
(kA/m)
1,500
2,500
: Dy content
: Dy content
: Dy content
: Dy content
：
：
∼2% →
4∼5% →
7∼8% →
8∼9% →
Low Dy Series
0%
1.5∼2.5%
3.5∼4.5%
5.0∼6.0%
Conventional
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0
-1500 -1000
22.5℃ 60℃ 100℃ 140℃
-500 0
H (kA/m)
46F (Low Dy Series)
46CH (conventional)
B (T)
100
80
60
40
20
0 800 2,4001,600 3,200
H (kA/m)
Magnetizing rate (%)
46F (Low Dy Series)
46CH (conventional)
図 3 開発材と従来材の着磁特性比較
Fig. 3 Comparison of magnetizing characteristics between
developed and conventional material