新製品紹介
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日立金属技報 Vol. 31（2015）
高硬度鋼用ノンステップ穴あけドリル
Non-Step Drilling Tool for Hardened Steels
Drill：NSBH-ATH
金型製作において高硬度鋼の直彫
り加工の要望が高まっている。この
要望は段取り回数の削減，金型製作
途中での熱処理待ちをなくすなどの
製作期間の短縮化に関するものであ
る。一方，高硬度鋼の穴あけは焼き
入れ焼き戻しの熱処理前に行うのが
一般的である。また深い穴の加工は，
切り屑の排出のため，工具の切り込
みと引き抜きを繰り返すステップ加
工を行うことが多く，工具の移動距
離が長くなり加工時間が長くなる。
それに対して，日立ツールでは
40HRC を超えるような鋼に，一回の
切り込みで穴あけを行うノンステッ
プ加工が可能な，超硬 OH（オイル
ホール）ノンステップボーラー H
図 1 超硬 OH ノンステップボーラー H（a）外観 （b）刃先写真
Fig. 1 Carbide oil hole non-step borer H (a) appearance
(b) cutting edge
図 2 工具形状の特長
Fig. 2 Feature of tool shape
図 4 切削事例（SKD11：60HRC）（a）切れ刃の状態
（b）切り屑の状態
Fig. 4 Cutting data (SKD11: 60HRC) (a) cutting edge condition
(b) cutting chips
[Cutting condition]
Work material: SKD61 (48HRC)
Coolant: emulsion, internal supply
Hole size: Ѯ6.0 x 120 mm
Revolution speed (n) =3,183 min
ï1
, Feed speed=191 mm/min
Pilot hole depth: 18 mm
[Cutting condition]
Work material: SKD11 (60HRC)
Coolant: emulsion, internal supply
Hole size: Ѯ8.0 x 95 mm
Revolution speed (n) =400 min
ï1
, Feed speed=20 mm/min
Pilot hole depth: 16 mm
図 3 切削事例（SKD61：48HRC）切れ刃の状態 ���a）逃げ面
（b）マージン
Fig. 3 Cutting data (SKD61: 48HRC) cutting edge condition
(a) flank face (b) margin
（NSBH-ATH）を開発した（図1）。以
下にその特長と加工事例を示す。
高硬度鋼の加工を行う��合，切削
抵抗の増大による大きな振動の発生
によって，切れ刃のチッピングが起
こりやすい。本工具は，従来工具と
比較して心厚を大きくして工具の剛
性を高めることで振動を抑制し，さ
らにねじれ角を小さくして切れ刃の
強度を高めることでチッピングの発
生を抑制した（図2）。
また，独自の既存技術である切り
屑の排出性を高める切り屑排出溝の
設計により，ノンステップ加工が可
能となり加工時間を短縮できる。
その他の特長として，耐摩耗性に
優 れ た TiSiN系 の PVD（Physical
Vapor Deposition）コーティングで
ある日立ツールの ATH コーティング
の採用による長寿命化を実現した。
次に加工事例を示す。SKD61
（48HRC）を被削材に用いて，工具
径の 20 倍の深穴加工を連続して行っ
た。その結果，90 穴の加工を行っ
た後も切れ刃の摩耗は良好な状態
で，性能は良好であった（図3）。
SKD11（60HRC）の穴あけ後の工
具および切り屑の例を図4に示���。
NSBH-ATH は 60HRC の鋼に対し
て工具径の 10 倍を超える深さの穴
あけを行うことができた。
（日立ツール株式会社）
（a）
（b）
10 mm 1 mm
（a） （b）
1 mm 1 mm
Flank face
Margin
（a） （b）
1 mm 5 mm
NSBH-ATH
Web
thickness
Helix
angle
Conventional
(WHNSB-TH)
Web
thickness
Web
thickness
Helix angle Helix angle
1 mm
1 mm
1 mm
1 mm